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美容師として『ありがとう』を目指して

「ありがとう」
美容師とファッション、トレンドを追いかけ、日々当たり前のように多くの顧客に「ありがとう」を言われる日々を送っていました。
自分の仕事に自信もあり毎日当たり前のようにサロンワークを送っている中、ふと気がつくと、いつものお客様が来店されない。
どうしたのかな?何かわたしたちに至らない所があったのか?と疑問に思っていると、虫の知らせで偶然聞いたお客様が病に蝕まれているという事。

病名は「癌(がん)」
美容師としてその時自分の至らなさを痛感しました。
毎日ヘアを通じてお客様に喜んでもらっていると思っていましたが、お客様が一番悩み、相談してもらわなければいけない肝心な時期に相談にのることもできず、なにもしてあげれない自分。
美容師として活動しお客様とは一生涯おつきあいをしていきたいと目標をかかげていたのに、自分の至らなさを痛感。
そんなおり、撮影などで使うヘアウィグの難点を思い起こしました。

わたしたちは撮影時などモデルさんのヘアの状況によってはヘアウィッグを使用します。
しかしそのウィッグは、そのままでは全く使いのもにならずモデルさんにフィットするようにカットやカール等の加工をしています。
医療用のウィッグにおいてもその加工は必須だと思います。
既製品のサイズや毛量では一人ひとり違う骨格や毛髪にそのままでは全くフィットしません。
この技術は脱毛等でウィッグを必要としている人へ貢献できるのではないかと思いランブス医療美容認定美容師になりました。
わたしは幸い今日まで病にかかった事はありません。
ですので闘病されている方の苦しみやご苦労ははかりしれません。
しかしそんなわたしにも闘病生活の中で頑張っているお客様に、今まで培って来た美容技術を活かし美容師として元気に笑顔で前向きになってもらいたいと思う気持ちに嘘はありません。

わたしには心の奥にいつまでも残っている言葉があります。
美容師を目指し始めた若い日に父から貰った言葉。
「人の為に生きなさい」
その言葉の答えがここにある気がします。
医療美容師として活動したその時に聞こえた
『ありがとう』は
今までわたしが探していた本当のありがとうなんだと思います。

Daily living 代表
サイトウ シゲユキ